優先席ってなんだろう?2012年12月17日 14:15

 電車、路線バス、モノレール…。いろんな乗り物に乗って、思いました。「優先席ってなんだろう?」

 電車の優先席、少なくても自分より若い乗客が、ためらいもなく座りました。車内で流れる「優先席付近では、携帯電話等の電源をお切りください。」というアナンス。
 車内でのマナーモード、それはたいていの乗客は守っています。でも、なぜ優先席では電源を切らなければいけないのか、そこまで分かっている人がどれぐらいいるのでしょう。
 その席に座っていた4人のうち3人は、ケータイもしくはスマホをいじっていました。何か調べ物をしていたのでしょうか。ゲームかな。それともつぶやいていた?
でもそのうちの1人は何もせずに座っていました。
もし、その1人が心臓疾患でペースメーカーをつけている人だったら…。

 そういう人は電車のどこにいればいいのでしょう。「私は心臓を患っています」と何か目印を付けて歩かなければいけないということでしょうか。
  
 また、こんなことにも遭遇しました。路線バスに高校生が乗車してきました。1人は一番前に座りましたが3人一緒に座りたかったのでしょう。もう2人はためらいながらも、優先席に座りました。
 ところが、バス停をいくつか過ぎたとき、杖をついた老人が時間をかけてやっとバスの階段を上って乗車しました。誰もがそれに気付いていいました。乗車してからも、その老人は1歩1歩が何センチだろうかというぐらい、よちよち歩いていましたので、誰もが2人の高校生が優先席を譲るだろうと思いました。
 ところがです。席を譲ったのは一番前に座った生徒でした。老人は「そこは席が高いからいいよ(タイヤの上だったので、座席が一段高くなっており、座るのは大変だったという意味だと思います。)、あっちが空いているから。」と言って優先席の前をよちよちと杖をつきながら、私の後ろの席に座りました。席につくまでとても時間がかかりました。
 優先席の高校生は、ケータイをいじり始め、もう一人は眠ったふりをしていました。バスの運転手さんも何も言わず、老人が座るとそのまま発車していきました。
 
 なぜこんなにガラガラの空いているバスなのに、わざわざ優先席に座り、歩くのが困難な老人を見て、席を譲らなかったのか。
 …もちろんその生徒だって平気だったわけではないと思います。でも、一番前に座っていた友人が言えたのだから、声を掛けるきっかけはあったでしょう?
 老人はバスに乗る時からにこにこ笑顔で歩いていました。よちよちとがんばって歩いていました。ちょっと顔が仙人に似ているような気がしました。(仙人に会ったことはないですが。)

 目が不自由な人は白い杖をもっていなければ優先席に座れないのでしょうか。妊娠している人も、お腹が大きくならなければ座れないのでしょうか。「私はここに座る権利があります」とわざわざ表示しなければ、座れないのでしょうか。

 私は今まで、優先席に座ったことはありません。どんなに混んでいても車いすマークのある駐車場には車をとめたことはありません。
 決して自慢話ではありませんが、私たちはバスで年配の方に席を譲りました。大きな荷物を持っていたので、「旅行ですか?」と声を掛けたら、「実家に帰ってきたので、今から家に戻るところです。」と話してくれました。今度は「どちらから?」と聞かれたので、「岩手県です。」と答えました。「ほぉ、ずいぶん遠くから。」「はい。向こうは雪が降っていました。」そんな会話をしました。
 特別なことではない、何でもない普通のことでした。

 携帯電話の電波は、心臓ペースメーカーを誤作動させます。だから、優先席付近では電源を切らなければならないのです。マナーモードだからいいわけではないのです。

 今回、盛岡、仙台、仙台空港、那覇、久米島、那覇、糸満…他。いろいろな町を回り、無事に家に帰ってきました。
 
 どうかマナーを守れることが「特別」なことでありませんように。
 多くの外国人は、日本人のことを「優しい」「親切」だと言います。私もそれを誇りに思っています。
 だから、みんながそういう日本人であって欲しいと、特にこれからの日本を背負っていく人たちに、その心を伝えていきたいと、私は旅をとおして思いました。