してやられた2014年07月26日 19:08

りんごちゃんが3歳のときに、家族は北上市から千葉市の幕張というところに引っ越しをしました。まだ幕張メッセも完成していなかったし、千葉ロッテマリンスタジアムも建設中でした。

そんな私のお楽しみは「探検ごっこ」。
りんごちゃんと一緒に、知らないところにお出掛けすることでした。

あるとき、幕張駅の近くにあった始発のバス(確か東洋バスとかいう名前のバスでした)に乗って、終点まで行ってみました。
今思うと、習志野市の方に向かって行ったのだと思います。
幕張新都心計画でめざましく開発されていた埋立地の方ではなく、
海とは反対側に向かうバス。
りんごちゃんが窓際に座って、私が通路側に座って、
初めて見る風景を面白がっていたのは、大人の私だけだったかもしれません。
でもりんごちゃんのリュックには、麦茶の入った水筒と動物ビスケットが入っていて、
お腹が空いたらそれを食べるというお楽しみがありました。

終点まで行くともう目的を達しているので、次のバスで帰って来ます。
(だから、同じ運転手さんだったりします。)

地図で「実籾」という町を見て、何と読むのか分からなかったので、
そこにバスで行って探検し、「みもみようちえん」があったので、
「みもみって読むんだ。」とひとつ勉強になったこともありました。

そんな記憶は3歳のりんごちゃんの中にはほとんどなくて、
私の楽しかった思い出でしかないのですが、
昨日私は仙台に行き、
もう午後7時に近かった時間にふらりと秋保温泉行きのバスに乗り、
「蛍を見に行こう」という旅に出ました。
窓側に座ったのが私、りんごちゃんは通路側でした。
あの時と、すっかり反対の立場になっていました。
だんだん日が暮れて行き、夕焼けがフランスに似ていたのでそんな話をしたり、
怪獣電灯の話をしたりしてだいたい50分ぐらいバスに乗りました。
あたりはすっかり暗くなって、窓から見える景色が山の中みたいになってきたとき、
りんごちゃんが「これから何処に行くと思う?」と言いました。
私は「秋保温泉でしょ?」と言うと、りんごちゃんは「じゃあ指で書くから当ててみてね。」と言いましいた。
あぁ、これも私がよくやったことだと思いました。
りんごちゃんは、私の背中に指でひらがなを一つずつ書きました。
「え?わかんないよ。もう一回!」
「いいよ。ゆっくり書くね。」
そう言ってりんごちゃんが私の背中に最初に書いた字は「う」でした。
次はよく分からなくて、点々がついていたので、「が」かなと思いましたが、「ブブー。」というので、私はちょっと待ってもらって考えました。
「が」じゃないなら「ぎ?ぐ?げ?ご?」
いや待てよ、点々がつく字は「か行」だけじゃないな。
「さ行」もあるし、「た行」もある。あっ「は行」もあるな、と思った瞬間、
りんごちゃんがにやりと笑いました。
「もう一回書くね。」と言って、指が私の背中で動き始めましたが、もう書かなくてもすぐに分かりました。
(こいつの考えそうなことだ。)

正解は6文字でしたが、2文字で完全に分かってしまいました。
辺りは真っ暗。深い山にバスは進んで行きます。

「分かった!」
「分かった?」
私は声を殺して爆笑。
(他にも乗客がいたので大声で笑えません。しかも声に出して言えるような答えではありません)

だんだん豪華なホテルが立ち並び、深い山はいきなり温泉街になりました。
バスを降りると、名取川はライトアップされていて、とても神秘的でした。

「お母さん、最終のバスはあと30分後だから。」
「えっ?そうしたら帰れなくなるの?」
「そうだよ。帰れなくなるよ。」

私は30分間ホタルを探して走りまわり、汗ダラダラ。
残念ながら、ホタルは見つけられませんでした。
温泉につかるどころか警備員に怪しまれ、
結局、秋保温泉では自販機でサントリーのDAKARAを1本買って、
最終のバスに乗りました。

バスの中でDAKARAをぐいぐい飲みながら、
「このCMに出ている女の子をみると、お母さんはいつもりんごちゃんの小さい頃を思い出すよ。」
と言いました。
「そう?」
「うん。そっくりだよ。」

ホタルは見えなかったけれど、たくさん星が見えました。
今さらながら、北斗七星を指さして数を数えました。
「流れ星を見つけたら、願い事しよう。」と準備しましたが、
そう上手くはいきませんでした。
「みゃむの目が見えるようになりますように、ってお願いするの?」と聞かれたけれど、
「いや。違うね。」と私は言いました。

帰りのバスの乗客は私たちの他、たった3人。
おそらく温泉街で働いている人でしょう。
その後、暑いのにマスクをした女性と、頭にタオルを巻いたヤンキーみたいな男性が乗ったので、私たちはバスジャックされたらどうするか、の妄想ごっこをしました。

そんなこんなをしているうちに、帰りは早く感じますね。
りんごちゃんちの最寄りのバス停に着きました。
その後も暗い夜道を歩きましたが、
無事に家に着くことができました。
すっごく楽しい時間でした。


6文字のヒント:う○○○やま